ミョウショウジザクラ

ミョウショウジザクラ【愛媛県新居浜市黒島 明正寺(みょうしょうじ)】

 家の近くの桜の大木はまだちらほらと芽が吹きかけている程度だ。ソメイヨシノは4月に近づかないと咲き始めないが、愛媛県新居浜市黒島の明正寺(みょうしょうじ)で、地元の植物研究家(愛媛県文化財保護委員・八木繁一氏)によって昭和40年(1965)3月20日に発見され、命名されたミョウショウジサクラ(学名、発見地にちなんだ品種名)はソメイヨシノにくらべ、1ヶ月近く早く咲きはじめる。その時期が釈迦の入滅した旧暦2月(現在の3月)15日に近いことから涅槃(ねはん)桜とも呼ばれているという。花の香りが一般的な桜より強いのが特徴だそうだ。新居浜市指定天然記念物になっている。

 晴天の日を狙って、ちょうどよいと思われる日に撮影に出かけたが、傍らにいた地元の婦人方の話によれば、今年は暖冬で、この日では遅すぎたとのことだった。季節の花々の撮影はその年によって早すぎたり、遅すぎたりということがあり、遠方に出かける必要があるときは要注意だ。

 この日は1日この上ない好天に恵まれ、よい写真が撮れて嬉しかった。枝垂れの優雅さとは異なるが、胸いっぱいに手を広げたような、凛とした姿が好ましかった。

撮影:宮崎 隆介(JRMN 会員)