2014年 活動内容

11月30日

    京都大学において開催された日本リスク研究学会第27回年次大会で開催された企画セッション「リスクマネジメントの実務」 (コーデイネータ:前田恭伸静岡大学教授、日本リスク研究学会副会長)にJRMNより田坂会員が参加し、「武田薬品の化学物質リスク管理の取り組み」 を発表した。

9月25日

    昨年に続き、おおさかATCグリーンエコプラザビジネス交流会 水・土壌汚染研究部会の協力を得てJRMNの活動を紹介するセミ ナーを開催した。

時間:13時30分~16時30分
会場:おおさかATCグリーンエコプラザ内ビオトープ・プラザ内 セミナールーム(ATCビル ITM棟 11F)
講演:

1.「環境マネジメント講義の経験から」
        講師―宇野 健一 氏〈JRMN副代表〉

2.「企業におけるリスクマネジメント活動事例」
        講師―古沢 啓一 氏〈JRMN会員〉

3.「大震災の経験から~危険を避ける意思決定に役立った教えや記憶~」
        講師―遠藤 雅彦氏〈東日本大震災復興サポート協会 代表理事〉

8月24日 

    暑気払いの懇親会を中心とした集会。昨年に続き懇親会の前に見学会を企画した。 大阪市西区の阿波座にある大阪府津波防潮ステーションの見学後、近くのレストランで懇親 会を行った。

6月19日

    これからのグローバル社会において避けて通れない異文化理解リスクに関して、長く日本に住まわれている外国 の方を招き、日本、日本人についての話をお聞きした。

講師:松尾カニタさん
  (関西インターメディア(株)/ FM CO・CO・LO DJ / Website Producer タイ国バンコク市生まれ 女性)

演題:「日本は特殊な国? 私は日本は好きだけれども日本人にならない」

4月15日

    福島原発事故後広く住民の間で関心や不安を持たれている放射線の健康影響、特に低線量被曝の問題について、 放射線生物学の視点から放射線の生体影響の仕組みの解説とともに緊急時のリスクマネジメントのあり方について話をお聞きした。

講師:渡邊正己(京大名誉教授、京都大学放射線生物研究センター特任教授)
演題:「放射線の生体影響の仕組みを理解する―放射線生物学の視点から」

2014年3月26日~28日 JRMN有志による福島現地視察

 2013年12月15日のJRMN主催セミナーで講演していただいた大阪大学大学院工学研究科 西嶋教授のご尽力により福島市で開催される低温工学・超電導学会主催のシンポジウム「福島除染に関する現状と課題」にJRMN会員有志4名(宮崎隆介、辻本晴美、遠藤憲雄、久保田俊美)が参加した。
 当プログラムは、第1日目:シンポジウム、第2日目:広野町除染作業と居住制限区域(富岡町)の見学であったが、プログラム終了後独自に1日を取って、連携を図っている東日本大震災復興支援サポート協会(旧関西県外避難者の会福島フォーラム)代表遠藤雅彦氏の出身地である福島県いわき市の被災ならびにその後の復旧・復興状況を確認するため「ふるさと豊間復興協議会」を訪問した。
 一つ目の眼目であった除染現場、津波被災現場訪問に際して、当初予定の貸し切りバスの運転手が放射線の高い地域への入域を忌避され、急きょシンポジウム主催者に手配してもらった車で行くというハプニングがあった。  広野町のNEXCO東日本用地周辺は雑種地にもかかわらず人気のない納屋のような民家がただ一軒あるだけで除染作業(表土除去及び客土敷き)が行われていた。 又、居住制限区域(20mSv/y-50 mSv/y)の常磐線富岡駅周辺は、東日本大震災(地震・津波ならびに原発事故)発災(2011年3月11日14時46分)から時間の経過が感じられなかった。(写真参照) 見るもの(市街地、農地、山林など)すべてが放射性物質汚染廃棄物となる。どのような復旧・復興が考えられるのか、全く見通しがつない。
 第3日目は、ふるさと豊間復興協議会事務局 渡邊博之氏から話を聞いた。いわき市豊間地区はサーフィンや夏場の海水浴客で賑わう観光・漁業・水産加工を主とする約600世帯の集落。津波により85名が尊い命を失い、約400世帯の住宅やその他の施設が全壊流出し、鳴き砂で有名な砂浜も地盤沈下で潮に隠れた。 震災後、いち早く協議会を設立し、皆で話し合い考えるワークショップや生活再建の個別指導、情報発信などの活動を展開し、いわき市都市計画事業豊間震災復興土地区画整理事業(一部高台移転(災害公営住宅豊間団地)、同程度の津波(TP+7.5m)を想定した堤防・護岸、防災緑地(TP+12m)、震災前と同じレベルでの区画整理地)が着実に進んでいる稀なケースである。 復興事業に漕ぎ着けるまでに相当の時間と労力を要すると思われるが、自治体のリスクガバナンスと住民主体の合理的な意思決定(リスクマネジメント)、それを取り持つ協議会の役割がうまく噛み合った復興事例と思われた。

福島視察写真アルバム

2014年3月1日 日本リスクマネジャネットワーク主催公開セミナー開催

 大阪大学「環境リスク管理のための人材養成」プログラム受講中通った大阪大学中之島センターで、昔に戻った感じで、当時も講師として講義を聞いた岸本先生(*)をお招きして公開セミナーを土曜の午後半日開催した。
(*)注:(現)東京大学公共政策大学院教授、(当時)産業技術総合研究所安全科学研究部門持続可能性 ガバナンスグループ長、現・日本リスク研究学会理事

 リスクマネジャの認定機関である日本リスク研究学会との共催で、リスクマネジャ(RM)の継続教育(CPD)としての位置付けも持ったセミナーであった。 テーマを「安全のためのリスク評価入門セミナー:大震災後の社会を生きる知恵~化学物質から自然災害まで~」とし、前半を基礎編、後半を応用編に分けて実施した。  基礎編では、安全とは何かという基本的な話からリスク評価の枠組みまでを解説された。 大気汚染物質、食品汚染物質、残留農薬、自然災害、機械・ロボットなどを想定し、それらの間での共通点や差異(特徴)についても触れられた。 応用編では、閾値が無いあるいは科学的に不確実であるといった難問に対して、どのように考えることができるかについて講義された。専門家とは誰か、リスク評価とリスク管理の関係、新規技術イノベーションと安全の関係などについて具体的なケースをもとに解説された。
 今回のセミナーのコンセプトは、セミナーのテーマの中にある“大震災後の社会を生きる知恵”をいかにして身につけるかということであった。 2011・3・11の大震災に起因して起こった福島第1原子力発電所の過酷事故による放射能放出の事態を受けて、それまでの安全神話の崩壊や、社会のしくみの中にある安全確保システムの問題点があからさまになったことで、人(専門家)任せにせず、自ら考えることの大切さを訴えられた。

  • 専門家の間でも見解が分かれていることが明白になった
  • 専門家の「専門分野」の狭さも明らかになった
  • 高校までに習う「科学」と現実の「科学」に落差があること
  • 専門家が「安全」について真剣に考えてこなかったことも明らかになった
  • 「専門家」や「行政」への不信があらわになった

 そうした事実を受けてこれからは自分の頭で判断できるように最低限のノウハウを身につけることが必要であること、それが“大震災後の社会を生きる知恵”であることを自覚できるセミナーになった。

参加者はJRMNから10名、JRMN外のRM3名、一般参加7名であった。

3・1セミナー写真アルバム

2014年2月23日 定例総会開催

 遠来の会員・浦北さん(三重県松阪市)、池田博幸さん(東京転勤中)が参加。昨年の事業報告、決算報告、監査報告 を承認したあと今年度の活動計画について議論。
 会員向けの研修の企画を積極的に公開セミナーと出来るよう努め、会員自身が講演するセミナーの開催も継続していく よう意思統一する。
 また1月に旧・福島フォーラム 遠藤代表と話し合いを持ち、地元企業とのコラボレーションで防災グッズセットの販売 と同時に防災ワークショップを開催していくという新しい動きを紹介。3月の東日本大震災、福島原発事故の3周年に際し開く予定の ワークショップや9月のJRMNセミナーを含め、連携の可能性を探ることとした。

2014年1月9日 1月度会員懇談会(第6回)開催

 新年度最初の会員懇談会をJRMN事務所(西区京町堀)で開く。昨年末の理事会で決めた年間の活動計画について、 2月の総会に向けてより具体化するために自由に意見交換する。

  • 定例の会員懇談会(奇数月)を第2木曜日とする。
  • 年間活動計画表の空白を埋め、会員にわかりやすいよう充実させる。(2月総会に提示)
  • 昨年初めて行ったJRMN活動紹介セミナー(2013年10月実施)を今年も行う。テーマは参加者の関心の高かった「リスク マネジメントについて」とし、会員3,4人の話し手を用意する。時期は9月頃を予定する。
  • 東日本大震災・福島原発事故からの県外避難者の会(遠藤代表)の講演会を継続するに当たり、もう少しじっくり意見交換 をして、JRMNとしての具体的な活動を見つける。1月中にJRMNと遠藤代表との話し合いを持つようにする。また阪大西嶋先生と 連絡を取り、福島現地訪問に参加できるかどうか検討する。
  • 懸案であった日本リスク研究学会と共催のリスクセミナーは2月22日、3月1日のどちらかで実施する。詳細は宮崎代表理事と 岸本充男先生(産総研)との間で詰めることとする。