湊川隧道(みなとがわずいどう)

湊川隧道(神戸市兵庫区)

「湊川(みなとがわ)」といえば、湊川神社、楠正成を思い出すが、六甲山に降った雨を集めて兵庫の海へ一気に流れ下る都市河川である。明治半ばの大洪水を契機に昔の川筋を西に振るときに川の最上流部の会下山をトンネルでくり抜いたのが〈湊川隧道〉で、わが国初の近代河川トンネルである。幅 7.3 メートル、高さ 7.7 メートルの馬蹄形断面で、当時としては世界最大級の規模であった。阪神・淡路大震災での被災を契機に新湊川トンネルが併設され、この〈湊川隧道〉はお役御免となった。後に残った立派な地下空間は近代土木遺産であると同時に様々なイベントに有効利用され、今日に至っている。

【参考】
パンフレット「湊川隧道」(湊川隧道保存友の会編集、兵庫県神戸県民センター神戸土木事務所発行)

撮影:宮崎隆介(JRMN 会員)