「亀の瀬」地すべり説明写真パネル

「亀の瀬」地すべり説明写真パネル

亀の瀬(地名)は大和川が奈良盆地から大阪平野に向かう渓谷部の右岸に位置する。今日も国道、JR 関西本線が大和川沿いに並行して走る昔からの交通の要衝である。ここが全国有数の大規模地滑りで知られる。今まで何度か見学会の機会があったが先日やっと訪問できた。国による対策事業も大がかりに行われてきた。明治 36 年
に最初の地滑りが起こり、2 度目は昭和 6~8 年にかけてゆっくりと大規模に地滑りが発生した。この時大和川が対岸の山を削り、左岸側に新たに開削され、JR もトンネル崩壊により地すべり地を迂回する形で左岸側に移設され、現在に至っている。戦後の昭和 42 年に 3 度目の大規模地滑りが発生した。3 回の地滑りは場所を変えて隣接して起こっていて、全体では長さ 1,100m、巾、000m、最大厚さ(すべり面の深度)70m という大規模なものである。交通の要衝でもあり、昭和 37 年から国直轄で対策工事が始まり、3 度目の地滑りを受けて本格的な対策に取り掛かり、総事業費約 850 億円をかけて、現在では地すべりの移動はほぼ止んでいる。5 年前の東日本大震災の年の秋に起きた紀伊半島の大雨に起因する大規模地滑りで、「深層崩壊」という言葉を初めて聞いたが、このように一気に崩れるものと亀の瀬のようにゆっくり動くものの 2 つのタイプがある。今年の夏の全国にわたる大雨で各地で土砂崩れ(地滑り)が起きていて、私の地元の姫路市でも小規模ながら市街地の中で土砂崩れが起こり、避難指示が出されている。
亀の瀬は産業活動に甚大な被害を及ぼす場所であるところからこのように費用をかけて対策工事が実施されたもので、全国すべての地滑り危険個所での対策には限界があると思われる。多雨で、山地の多い日本のどこにも危険が潜む。命の危険だけは避けられるよう、全ての自治体の心構えがほしい。もちろんわれわれ自身もだが。
(国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所パンフレット「亀の瀬地すべり対策事業」参照)

撮影:宮崎隆介(JRMN 会員)

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